今日は、白みやです。
顔料インク使ってますか?
私は愛用しています。
今回は、「顔料インクを入れてた万年筆が完全に詰まってしまったけど、プラチナの万年筆クリーナーを使ってみたら解決した」という話です。
顔料インクの説明や、インククリーナーの使い方などを紹介していきますので、顔料インク使用中の方や、メンテナンスがわからなくて使うのを迷ってる方の参考になると嬉しいです。
顔料インクって?
万年筆インクの多くは「染料インク」という種類です。これは発色が良く扱いやすいのですが、水に落ちやすい性質を持っています。
それとは別に、「顔料インク」という水濡れに強いインクもありまして、消えてしまったら困るものを書くときなどに使われています。
私もSAILORのストーリアというシリーズの顔料インクを好んで使っています。
このシリーズは、顔料インクでありながらカラー展開が豊富かつ発色も良く、ボトルデザインも可愛い、といういいとこだらけの製品です。
ただひとつ問題がありまして、ストーリアに限ったことじゃありませんが「顔料インクは洗ってもなかなか落ちない」という特徴があります。
そりゃ水に強いのが売りなので、どうしてもそうなります。
メーカーさんも色々工夫してまして、万年筆用の顔料インクは詰まりにくいようになってます。
なので、使い始めの頃は汚れこそ残っていましたが、書き味自体に問題はありませんでした。
↓最初の万年筆洗浄の記事はこちら。染料インクの洗浄もあわせて紹介しています。

しかし長く使っていくうちに、汚れのこびりつきが目に見えて悪化はしていきました。
↓その時の記事がこちら

そして、とうとうインクが詰まりました。
これはダンサー(ピンク)を入れていたカクノのFです。細字なので詰まりやすそうではあります。
もともとナイト(青)を入れていた方に比べて書き心地が悪く、カスカスする手応えはあったのですが、ある日とうとうインクが出なくなりました。
その後ナイトと合わせて水(ぬるま湯)に40時間くらい浸けてましたが、これ以上は落ちませんでした。
画像の通り、首軸もペン先の隙間もインクの色素がしっかりこびり付いています。
分解するのは危険なのでしませんが、おそらく内部も相当なことになってるでしょう。
プラチナ万年筆インククリーナー
顔料インクを水以外で洗浄するにはちゃんと専用アイテムが売っています。
それがこちらの「プラチナ万年筆 インククリーナーキット」です。
ヨーロッパサイズ用、顔料インク共用の2種類がありまして、私が買ったのは顔料インク共用という方です。
プラチナ万年筆から出ている製品ですが、他のメーカーの顔料インクにも使えます。
ただし、セットで入ってくるスポイトは、プラチナ製の万年筆じゃないとサイズが合わないので使えません。
セット内容はこちら。
スポイトが無くても、手持ち万年筆のメーカーのコンバーターで代用できます。
大体の場合顔料インクを入れていたコンバーターも汚れてしまうので、そっちも一緒に洗ってしまいましょう。
顔料インクの洗浄の方法
用意するものは洗浄液1袋とコップのみでOKです。
後は洗いたい万年筆とコンバーターですが、あらかじめ水で落とせる分はインクを洗い流しておいたほうが良いです。
洗浄液の10倍の量の水で薄める
洗浄液を入れたコップです。10mgという量なので、コップの底に溜まる程度の少量です。
テクスチャはドロっとしてます。
水を足します。洗浄液の10倍の量の水ということなので正確には100mgなのですが、私は大体の目分量で入れました。(少量から足してく方が良いです)
この中に万年筆とコンバーターを投下。
あっという間にインクが溶けていきます。
一応先に水洗いしていた状態なのに、一瞬でこんなに色が湧き出てきました。
上から見たところです。
この勢いで溶けてくれればきっと内部のこびりつきも綺麗になりそうだなと期待しつつ、1日放置しておきます。
ちなみにコンバーターは浮いてしまうので、中に水(洗浄液)を吸込みたかったのですが、パイロットのカクノ対応のものだと、やっぱり浮かんでしまいました。
24時間後
インクの色が洗浄液の中にしっかり溶け込んでいました。
青とピンクなので紫になってます。なかなか綺麗な色です。
これを濯いで行きます。
油分のようなテクスチャなので、まず洗浄液をコップから出して、その中に綺麗な水を入れてすすぎ洗いを繰り返し、最後に水道から直接水を当てて万年筆を洗い流す、という感じで行きました。
プラチナ製のスポイトはカクノには合わない
念の為スポイトも使ってみましたがやっぱり装着はできません。
が、水圧で内部を洗うのには使えるのでは?と思ってスポイトで吸い込んだ水を勢いよく押し出して中に溜まった洗浄液を押し出してみました。
(効果あったかはわからないのです)
洗った後の結果は?
こちらが洗い終わった時の画像です。
完全に落ちきったとまでは行かないのですが、かなりスッキリしました!
裏側のグレーの部分も隙間にびっしりインクが入り込んでましたが、綺麗に落ちています。
見た目的にはだいぶ回復しています。
ストーリアを入れてみよう
見た目は綺麗になったので、早速元どおりストーリアを入れてみます。
ストーリアのボトルは相変わらず良いデザインです。
ストーリアのレビューはそれぞれ単独で書きました↓


顔料インクには興味があるけどカラフルな色が使いたい、という場合にはストーリアは良いです。まだこの2色しか手元には無いのですが、どちらの色も発色が綺麗で気に入ってます。
綺麗に入れることができました。
常用しているのでボトルの中身も減ってきているのですが、ボトル自体にインクリザーバー機能が付いているため、残りが少なくなってきても補充しやすいようになっています。
水色のカクノはもともと書き味に問題は無かったので不安はありませんが、詰まってしまったピンクのカクノは復活したのでしょうか?
緊張しつつ試し書きをしてみると……
詰まりが取れた!
見事にインク詰まりが解消し、良好な書き心地が戻ってきました!!
安心しました、これでまた長く使って行けそうです。
万年筆本体を買い換えせずに済んでホッとしました。
万年筆クリーナー、効果絶大でした。
まとめ
顔料インクを使っていく上で避けては通れない万年筆のメンテナンス問題ですが、専用アイテムを使うことでかなり改善されることがわかりました。
やはり顔料インクの場合、こまめに洗浄していても、水だけではしっかり落とすことはできません。
私もお湯に浸けてみるとか、まる2日間くらいは浸けておくとか工夫しましたが、一定レベル以上は落とすことはできませんでした。
インク詰まりが心配だったので、顔料インクを入れる万年筆は安価なものにしていたのですが、こういった効果的なアイテムがあるのなら、安心して他のものにも使えそうです。
使い方も簡単なので、手間もかかりません。
万年筆でも水濡れを気にせずに使いたい!という顔料インクファンには便利な道具ですので、普段から顔料インクを使用してる方にはとてもおすすめです。
万年筆内部の汚れが気になってきたな、とか、最近インクフローが落ちてきた気がする、という人は一度試してみてください!
外からは見えない部分に案外インクが詰まっていて、パフォーマンスを下げているかもしれません。
クリーナーの力で頑固な汚れがスルスル落ちていくのを見るだけでもだいぶ気持ちがいいので、顔料インクユーザーは一度試す価値ありだと思います。
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