こんにちは、白みやです。
今回はガラスペンの話です。
万年筆に興味を持ち始めた結果、必然的にというか、なるべくしてなったというか、ガラスペンに手を出すまでそう時間はかかりませんでした。
そんなわけで今回はガラスペンとはどんなペンか紹介しつつ、レビューしていきたいと思います。
ガラスペンとは?
ガラスペンとはそもそも何か。
その名の通りガラスでできたペンです。
ペン先の側面に溝が何本もあるのですが、そこにインクを吸引させることでかなりの文字数を一度に書くことができる、つけペンの一種です。
ガラスペンはイタリアやドイツ製の物をよく見かけますが、発祥は明治時代の日本の風鈴職人さんらしいです。
今だと細かい細工が施されたり、色つきガラスを使ったり、筆記具というより芸術品では?と思うような見事なデザインのガラスペンも出ています。
ガラスの特性である透明感や、光を反射するキラキラした美しさも魅力的ですが、私の場合、「付けペンなので毎回好きなインクで書ける」という実用性に何より興味を惹かれました。
その日の気分でインクを使い分けたい場合、万年筆でそれを実現しようと思うと相当数のペンに各色のインクを入れておくことになりますが、コストがかかるし場所もとり、その上個々のペンを使う頻度は落ちますから、インク詰まりも起こしやすい。
しかし付けペンなら問題を全てクリアできますし、ガラスペンは一度インクに漬けただけでかなりの量の文字数を書けると聞き、どうしても試したくなりました。
そこでまずはAmazonでイタリア製の安価なガラスペンを購入し試してみました(このペンも後日紹介します!)。
結果、その使い心地がすっかり気に入ってしまい、さらにもっと上質なものを手にしてみたい、と思い購入に至ったのが菅清風さんのガラスペンです。
菅清風さんのガラスペン
(※このペンを私が入手したのは昨年の話ですので、現在の状況とは違う場合があります)
上質な日本製のガラスペンが欲しい!!
見た目が綺麗なのもいいけど、あまりに繊細すぎて実用を躊躇うようでは意味がないので、どんどん使える実用的で書き味が良いものがいい!
……と思ってあれこれ調べ、結果注文に踏み切ったのが、京都にあるガラス工房ほのお(漢字が変換できなかった)の菅清風さんという方が作られているガラスペンです。
菅清風さんのサイト(外部リンク)
サイトを見ていただけるとわかるのですが、なんかもう凄い。
様々な賞を受賞していたり、平和のための活動をしてる著名人の方々に寄贈されていたり。
なにより菅清風さんご自身が1920年の生まれで、生涯現役でガラスペンを作り続けるとおっしゃっていたところがとてもすごい。
高価なものですが、自分の為に良い物を持っておくのも自己投資、いっそ家宝にしようくらいの覚悟で注文しました。
また、永久無償修理保証付きで、もしペンが割れたり欠けたりした場合でも直していただけるというアフターサービスの良さにも惹かれました。良い物は長く使いたいですしね。
そして注文してから約一月。
サイトには約一週間ほどで発送とあるのですが、商品によっては2ヶ月くらいかかる場合もあるようです。
一週間はとうに過ぎたので、現状どんな感じなのか問い合わせメールを出してみたところ、
「今日出来ました。明日送ります」
との返信が!!
つまり出来立てほやほやのガラスペンを送っていただけるということで、テンション上がりまくりで待機しておりました。
そして届いたのがこちら
いよいよ届きました、ガラスペン!
素敵なショッパーが一緒についてきました。
パンフレットにはガラスペンの説明や、これまでの活動、メディアでの紹介などの事が詳しく書かれています。
本体のガラスペンが収められている箱がこれです。
開封してみると、立派なベルベットの化粧箱に収められております。
商品説明書?のようなものも。
いざ開封!
私が注文したのは「雅」という種類の物です。これはクリアカラーですが、他にもピンク、青、緑があります。
持ち手の部分がうにょうにょしています。
普通のガラスではなく硬質ガラスのため、丈夫な作りになっているようですが、やはり見た目はガラス、手触りも持った時の感触もガラスなので、緊張します。
ペン先のアップ。
この捩れた溝にインクが吸引されます。溝がけっこう深いので、かなりの量のインクが補充されるみたいです。
箱に入った状態の方が柄が見やすいかも?
持ち手の部分はやや太くなっており、握りやすい形状になってます。この波打った模様のおかげで滑る事もなく持ちやすいです。
おまけにインクが付いてくる!
パイロットの黒インクとオリジナルのインクボトルが付属で付いてきます。
このインク瓶がガラスペン用としてとても良いのです!
中にはスポンジが敷き詰めてあり、ここにスポイトで黒インクを足していきます。
通常のインク瓶だと、ガラスペンを突っ込んだ時に底に当たってペン先にダメージを与える恐れがありますが、このスポンジ付きのボトルだと、その心配がありません。
なるほどな〜〜!と思いました。
インクをつけて書いてみよう
これは以前深海とオニキスを比較する為にガラスペンを使った時の画像なのですが、すごくインクの色が映えて綺麗です。
先を軽くボトルに浸しただけの状態ですが、溝に吸い込まれているのがわかります。
いただいたインクボトルに使う場合、この様にペン先を押し付けてインクを吸わせます。
ボトルに直に漬けるよりはインクの吸収量は低いのですが、それでも十分に書く事が出来ます。
何文字書ける?気になる文字数を実験
さて、ガラスペンは一度のインク吸収で葉書一枚分は書けると言われていますが、果たしてどれくらい行けるのでしょうか?
実際に試してみます。
ボトル直漬けで吸えるところまで吸う
付属でいただいたパイロットの黒にガラスペンをしっかり浸し、まずは50音から書いてみます。
何文字目まで行けるでしょうか。
できたら50音くらいまでは書ききれたらいいな〜という予想で試してみたのですが……
結果がとんでもない事に
結果がこちら。
ロディアのマスに一文字が収まるサイズで書き進めて行った所、50音を書き終えてもまだまだ余裕がある。
なので引き続きアルファベットを書きましたが大文字小文字終わっても余裕がある。
ということで数字を書いていきました。
で、合計文字数が50音(正確には46文字)+アルファベットの大文字小文字(各26文字)数字で242文字。
合計360文字も書けました!!!
純粋に凄い。確かに葉書一枚分くらいなら、よほど小さい字で書くんじゃない限り裏表両方行けそうです。
後半はだんだん薄くなってきますが、ガラスペンはインクの入っている溝に合わせてペンを回転させながら書いていく感覚なので、全部の溝が空っぽになったら書けなくなります。
書き始めの時と、書き終わりの頃とでのインクの色や太さはこれくらいの差があります。
書き心地は?
ガラスペンは金ペンなどとは違い、しなったりすることはないので、机の上にペラ紙一枚で書くと手応えはゴツゴツというかゴリゴリとした書き味になります。硬めの感触です。
ノートなど、ある程度の厚みというか、下にクッション性がある紙に書く場合は硬さも和らいでサラサラ書き進める事ができます。
インクの詰まりやひっかかりは一切ありません。するするインクが流れてくるのでストレスが全く無いです。
これ、イタリア性のガラスペンの時には(個体差もあるのでしょうが)頻繁にインクが詰まって途切れていたので、やはり品質がめちゃくちゃ良い!!と感動しました。
ちなみにニブの太さは細めです。カクノで言うならFとMの中間くらい?インク残量にもよりますが、そんなに太くはなりません。
メンテナンス方法
手入れの簡単さも魅力の一つです。
万年筆だと分解して漬けおきの後、乾燥。その後インクの補充という流れがありますが、ガラスペンはペン先を水洗いするだけでおしまいです。
とっても楽。
顔料インクには注意!
一度顔料インクに使用したことがあります。
その時も軽く水洗いして済ませていたのですが、後日溝にインクがこびりついているのを発見しました。
即書き心地に影響があるわけでは無かったのですが、溝にインクが溜まったままになっているのは見た目にも良くないし、放置してたらいつか詰まってしまう気がして慌てて落とそうとしましたが、これがなかなか大変でした。
顔料インクなので固まってしまうとなかなか落とせませんし、何本もの溝が捩れた形状なので、どこの溝にインクが溜まっているのか見つけるのが難しい。
一本一本の溝をなぞりながら確認していくのはかなり骨が折れました。
ネットで調べたら目の細かい柔らかい歯ブラシなどで洗うと良いとのことですが、それだけでは完全には落ち切らず、今もほんのちょっと残ったままです。
なので顔料インクには使わない方が無難です。もしくは使った後に即丁寧に洗うようにした方が良さそう。
まとめ
というわけで今回は菅清風さんのガラスペン、雅の紹介でした!
ほんと買ってよかった〜って感じる名品なので、興味ある方にはお勧めします。
私は現在インクの試し書きや比較などの際に使うことが多いのですが、もっと日常的にも使っていきたいです。
繊細な高級品だからといって使うのを躊躇しているのがもったいないくらいに書き心地が良いです。
一生大事にしていきたいと思います!
付属としていただいたインクはパイロットの「万年筆用」です。
パイロットのボトルインクは同じようなデザインで、製図用、証券用というのもありますが、ガラスペンで使う場合は「万年筆用」です。
他のものだと万年筆やガラスペンには不向きなので注意してください。
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