こんにちは、白みやです。
今回はPlatinumから出ている古典インクのシリーズ、「クラシックインク」よりカシスブラックを紹介します。
すごく好きなインクなので気合を入れてレビューと検証をしていきます!
プラチナクラシックインクとは?
まず、万年筆のインクには古典インクと言われる種類があるという事から入ります。
古典インクにはタンニン酸、没食子酸、鉄イオンなどが含まれており、紙面に筆記した際、酸化が進むにつれて、耐水、耐光性が増し、色も黒ずんでくるという特徴があります。
主にブルーブラック系のインクがこれに該当していましたが、これも、青っぽい黒という意味ではなく、もともと青い色がだんだん黒くなってくる為、そう呼ばれていたそうです。
しかし現在は、もっと手間なく作れて発色の良い染料インクがメインとなっており、また、耐水性を求めるならインクであれば顔料インクが用いられるなど、この古典インクを販売しているブランドは少なくなっています。
日本ですとプラチナ社が現在でも古典ブルーブラックを販売しています。
そのプラチナが2017年の2月に販売し始めたのが、クラシックインクシリーズです。
クラシックインクは全部で6色展開
クラシックインクは現在、
- カシスブラック
- フォレストブラック
- シトラスブラック
- カーキブラック
- セピアブラック
- ラベンダーブラック
というネーミングの6色展開になります。
シトラス、セピア、カーキは大きく分けると茶色系に属し、カシスとラベンダーは赤系(赤紫系)になります。フォレストはグリーンです。
どの色もそれぞれ魅力的で悩んだのですが、まず私が買ったのはカシスブラックです。
今回はこちらを詳しく見ていきます。
カシスブラック、箱とボトルデザイン
まずは外箱からの紹介です。
クラシックインクというだけあって、古風なデザインの紙箱に入っています。
箱の上面にはインクのカラーイメージが載っています。
カシスブラックの場合、このような赤みの強い紫になります。
インクの特性上、時間経過や筆跡により濃淡がはっきりと出ます。そこがこのインクの楽しいところです。
中のボトルはこのようなデザインです。
ボトルとしてはシンプル。表面が曲線的でころっとしており、掴むと割と滑るので注意です。
カクノのスケルトンにインクを入れてみる
私がこのインクを使うのはカクノスケルトンのFです。
あえてこの選択なのは、インクの色が透けて見えて綺麗だからという理由のほかに、古典インクを入れる事による万年筆本体へのダメージが気になったからという事も大きいです。
古典インクは先ほども紹介した通り、酸が含まれています。適切なメンテナンスをしていないと万年筆自体が腐食したり、痛んだりする場合があるらしい。
ネットで検索するとそういう話がちらちら出てくるので、高級な万年筆に入れるよりは、万一の事があっても気にならないリーズナブルなカクノにしようという選択になりました。
(もっとも私はまだ高級な万年筆は持っていないのですが)
今のところ調子が悪くなるような事もなく、元気に使えています。
インクが掃除しにくいとか内部に定着しやすいとかいう事もなく、普通の染料インクと変わらない手入れで十分です。
ちなみに同じような理由から、顔料インクもカクノで使っているのですが、顔料の方が手間がかかる印象です。
顔料インクはやはり色素沈着が起きたり、内部にインクが残ったりします。2日水につけてても完全には綺麗になりません(とはいえ詰まるとか壊れるとかいう現象は今のところ起きないので問題は無い)。
早速コンバーターに入れてみよう
こちらがカクノスケルトンです。以前、色彩雫の松露の記事ではMニブを紹介しましたが、こっちはFです。
ばらけるとこうなります。
クラシックインクのフタを外してみました。
ご覧の通り、カシスというイメージよりも、オレンジに近い色味をしているのが特徴です。
プラスチックの筒のような部品が入っているのですが、インクリザーバーのようなものかと思います。このタイプのインク瓶は初めて使いました。
この筒の底までしっかりペン先を漬けて吸引します。満タンにはなりませんが半分より少し多いくらいまで入りました。
コンバーターは未だに苦手です。捻りながら、今自分が何のための動きをしているのかよく解っていないです。吸い込んでるのか、押し出してるのか。
何回かやってると入ってるという状態。
軸をセットして出来上がりです。
カシスブラック、どんな色なのか徹底検証
まずこちら。
インク入れに失敗したので拭き取ったティッシュなのですが、この色を見た限りでもフタを開けた時と同じように、オレンジ味が強いのがわかると思います。
古典インクは時間経過で色が黒ずんで来るし、耐水性も増す、と言われていますが、果たして本当なのでしょうか。
2ヶ月前から準備していた資料で検証していきます。
それがこちらの画像です。
日付を書いておきました。
一番上が今年の1月12日に書いたもの、次が2月21日に書いたもの、一番下がついさっき書いたものです。
使っている万年筆は全て同じ、さきほどのカクノスケルトンFです。
色の違い、解るでしょうか?
あえて素の色で見て欲しかったので画像加工なしで行ってます。先月に書いたものは茶色っぽく変化していますが、書いたばかりのものは明るい色をしています。
画面が暗いので別角度から。
なんか1月のより2月のものの方が色が黒くなってるのですが、何故だろう。インク残量によるフローの差かもしれないです。
色変化のスピードはどれくらい?
じゃあどれくらいの速度でインクの色が変化するのだろうかという部分を見ていきます。
まずこちら、太めにインクを塗りたくってみました。紙はロディアです。
書いた直後に急いで撮影しました。筆記したばかりの時は、赤とオレンジと茶色を混ぜたような、明るい甘酸っぱそうな色をしています。
2分ほど経過すると、かなり赤紫に近い、絶妙な色になっています。
この色がすごく好きです。
体感として、色変化の速度はかなり早いです。
紙との相性にもよります。私は普段yPadでこのインクを使用しているのですが、yPadのクリーム色の紙(吸水も良い)だと、1分もするとかなり成熟した黒っぽさになりますし、濃淡も出ます。
色彩雫の松露や深海の色変化と同じくらいか、それよりやや遅いくらいのスピードなので、要するにあっという間です。写真におさめようとカメラアプリのピント合わせているうちに変化してるくらいの速さです。
検証はカシスブラックでしかしていないのですが、他の色はどうなんだろう。
趣味の文具箱という雑誌のvol44がちょうど古典インクの色変化実験をしているので、そちらにプラチナクラシックインクも全色載っています。
古典インクの種類に興味のある方は読んでみるといいかも。私も楽しく読みました。
古典インク、耐水性はほんとにある?
古典インクは化学変化により定着力が増し、耐水、耐光性が増すという話ですが、実際どれくらいなのかを実験します。
先ほどの画像にあったこちらの紙に、水をかけてみます。
スポイトで水を垂らしてみました。
かけた直後からどんどん溶けていきます。えっ、大丈夫か?もっと滲まないと思ってたんだけどな?と思いつつしばらく放置。
どんどん溶け出していく様子の拡大図。
数分置いた後、水分を吸い取って乾かしてみました。
やった!思ったよりは残ってる!!
というかだいぶ残っています。
ついさっき書いたばかりのものが一番インクが薄くなりましたが、それでも読むには十分な濃さです。
嬉しかったので今度は紙全体を全部水で洗い流してみました。
軽くこすり洗いしてみたのですが、消えることはありませんでした。
やはり1月より2月の方がしっかり残りますね。フローの良さが結果に直結してるようなので、ニブが太めの万年筆だと、もっと残るかもしれないです。
こうしてみると、溶けて洗い流されていった色素というのは赤やオレンジで、定着して残った色味は黒に近いという事がわかります。
古典インクの特徴の「酸化して黒くなる」という現象はこういうことなのかなーと実験してよくわかりました。
絵を描いてみた
カシスブラックをイラストに使ってみました。
そういうわけでカシスの絵。
カシスです。
カシスです。(念を押す)
……カシスに見えないどころかなんか邪悪な生きものの目玉に見えるので描き直しました。
カシスケーキです。
カシスとブルーベリーって形似てますが、葉っぱの形と色ツヤが結構違うんですね。勉強になりました。
色ですが、画像だともうすっかり色が変化した後になってます。ここから数日おけばもう少し黒くなるのかも?
書き始めの時の鮮やかなオレンジは残ってません。
この色変化の楽しさは実際に使ってみると本当に楽しいので、ぜひ体感していただきたいです。
私ももう一色くらい欲しいのですが、どれにしようか迷っています。
茶色系が無いのでセピアかな〜と思うのですが、シトラスもあまり見かけない色なので興味があります。
色を選ぶ楽しさがあるのも良いですね。
カシスブラック、自分で使ってみて、このオレンジ系〜赤紫系への変化と濃淡が本当に気に入ったので、古典インク興味ある方にはぜひ試していただきたいインクです!
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